
ROAD TRIP 1990–1992
1991年5月。
Oaklandを抜けると、右手にSan Francisco Bayが広がっていた。
湾の上空には、次々とベイエリアの空港に着陸していく飛行機。
そして前方には、これから渡る長い橋が見えてきた。
San Mateo–Hayward Bridge。
飛行機でSan Franciscoへ降りるたびに、窓から見えていた橋だった。
「あの橋を車で渡ったら、どんな気分だろう」
そう思っていた場所を、今日は自分の運転で走るのだ。
料金所で1ドルを払い橋へ。
海面すれすれを走る長い道路の先には、サンフランシスコ半島が霞んでいる。
湾の真ん中を、ひたすら西へ。
飛行機から眺めていた景色の中を、今度は車で走っている。
旅先では、こういう小さな願いがかなうだけでも、妙にうれしい。

橋を渡り終えると、景色が変わった。
1991年のSilicon Valley。
現在のような、世界的なテクノロジーの街を想像してはいけない。
当時の目に映ったのは、静かな郊外の町だった。
AppleやMicrosoftは、すでに存在していた。
しかし、インターネットの時代はまだ始まっていなかった。
Googleも、Amazonも、Facebookもない。
もちろん、その後ここが世界を変える場所になることなど、当時の自分には知る由もなかった。
ただ、車を走らせていた。
やがてRedwood Cityへ。
ハイウェイを離れると、スーパー、ガソリンスタンド、ファストフード店、学校、教会。
歩道には、人の姿も見える。
観光地ではない。
どこにでもありそうな、アメリカの郊外の日常。
けれど、私はこういう風景が好きだった。
旅行ガイドには載っていない。
その土地で暮らす人たちの、何気ない一日が見えるからだ。
信号待ちの人。
買い物帰りの人。
歩道を歩く子供たち。
1991年のアメリカでは、それが旅の風景だった。

やがて道はRoute 84へ。
周囲の景色が、少しずつ変わっていく。
平坦なベイエリアから、緑の丘陵地帯へ。
オークの林が道路を包み始めた。
この先はSanta Cruz Mountains。
そして、その向こうには太平洋がある。
その前に、昼食を取らなければならない。
林の向こうに、小さな町が見えてきた。
ロードトリップ最初の午前が、終わろうとしていた。
まだ太平洋は見えていない。
旅は、ここからさらに西へ向かう。

この先へ
次は、Woodside。
そこで出会ったのは、思いがけない「カウボーイ」だった。
ROAD TRIP 1991|Day 1
旅は続く →

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