
ROAD TRIP 1990–1992
1991年5月。
カリフォルニア州都、サクラメントのアパートを出て西へ向かった。
目的地は、決めていなかった。
ただひとつだけ、最初に見たいものがあった。
太平洋だ。
助手席には、定番の地図『Road Atlas』。
車には、カメラ『Canon T90』と大量のポジフィルム『Fuji Film Velvia50』。
そして、もうひとつ。
Price Clubで買ったカルローズ米、炊飯器、醤油、海苔。
長いロードトリップを乗り切るための、名付けて「ライスボール作戦」である。
ナビもスマートフォンもない。
頼れるのは、紙の地図と道路標識だけだった。
I-5からI-80へ。
広大なフリーウェイを西へ走る。
白い道路、緑の標識、青い空。

まだ旅が始まったばかりだというのに、見慣れたアメリカの風景が、いつもとは少し違って見えた。
途中、白煙を吐きながら走る古いVolkswagen Busに追い越された。
車内の若者たちが、こちらに向かって手を振っている。
こちらも手を振り返す。
Volkswagen Busは、白煙を残して遠ざかっていった。
その姿を見送りながら思った。
カリフォルニアの朝は、広い。
そして、自分はまだ旅の入口にいる。
やがてOaklandが近づいてくる。
フロリダのセブンマイル・ブリッジより長い橋を渡り、さらに西へ。
その先には、ずっと憧れていたCalifornia Route 1が待っている。
太平洋は、まだ見えていない。
1991年のロードトリップは、始まったばかりだった。
この先へ
San Mateo–Hayward Bridgeを渡り、静かなSilicon Valleyへ。
そして、その先に待っていたものは……
ROAD TRIP 1991|Day 1
旅は続く →

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